せっかくの旅行なのに、移動中や観光中、宿に着いたあとなどに吐き気がしてつらくなることはありませんか?
「乗り物酔いかと思ったけれど、毎回のように気持ち悪くなる」
「楽しみにしていたのに、旅行中だけ体調が悪くなる」
そんな状態が続くと、「旅行が合わないのでは」「自分だけおかしいのでは」と不安になる方も少なくありません。
病院で検査をしても異常が見つからず、「疲れでしょう」「酔いやすい体質かもしれませんね」と言われることもありますが、実は旅行中の吐き気には、乗り物酔い、睡眠不足、気圧変化、食べすぎ・飲みすぎ、緊張や興奮、自律神経の乱れなど、さまざまな要因が関わっていることがあります。
この記事では、西洋医学と東洋医学の両面から、「旅行中に吐き気がする」原因と対処法をやさしく解説します。
「旅行中に吐き気がする」とき、一般的に考えられる病気・診断名
「旅行中に吐き気がする」場合、以下のような疾患や状態が関連していることがあります。
- 乗り物酔い
車、電車、飛行機、船などの揺れによって、目から入る情報と身体の感覚にずれが生じると、吐き気が起こることがあります。旅行中は移動時間が長くなりやすく、普段は気にならない方でも酔いやすくなることがあります。
- 自律神経失調症
旅行は楽しい反面、移動や環境の変化、緊張や疲れが重なり、自律神経が乱れやすい場面でもあります。その影響で、胃腸の動きや身体のバランスが崩れ、吐き気として現れることがあります。
- 片頭痛に伴う吐き気
片頭痛がある方では、頭痛だけでなく吐き気を伴うことがあります。旅行中は、気圧変化、光、におい、疲れ、人混みなどの刺激が重なりやすく、頭痛とともに吐き気が出ることがあります。
- 胃腸炎・消化不良
旅行先では、食べすぎ、飲みすぎ、慣れない食事などで胃腸に負担がかかりやすくなります。その結果、胃のむかつきや吐き気が起こることがあります。
- 低血糖・脱水
移動や観光を優先して食事や水分補給が不十分になると、気分が悪くなったり、吐き気が出たりすることがあります。特に、暑い時期の旅行や朝早い出発の日には起こりやすくなります。
- 気象病・高山病様の不調
飛行機移動や標高の高い場所への移動、天候の急な変化などで、身体が気圧や酸素環境にうまく適応できないと、吐き気や頭重感、だるさが出ることがあります。
旅行中の吐き気は、「楽しいはずなのに、なぜ」と戸惑いやすいものですが、実際には移動・刺激・環境変化が重なって起こることが少なくありません。
そのため、検査でははっきりした異常が見つからず、「異常なし」と言われることもあります。
病院で「異常なし」と言われるときに考えられる要因
医学的に説明がつく要因(身体面)
旅行中の吐き気には、検査で大きな異常が見つからなくても、身体の反応として説明できる要因があります。
- 乗り物の揺れや視覚情報のズレ:車や電車、飛行機、船などでは、身体は揺れを感じているのに、視界は一定に見える、あるいは逆に景色が流れて見えるなど、感覚のずれが起こります。このずれによって自律神経が刺激され、吐き気が起こりやすくなります。また、移動中にスマートフォンや本を見続けることも、酔いやすさを強めることがあります。
- 睡眠不足・疲労の蓄積:旅行前日は準備で寝るのが遅くなったり、早朝出発で睡眠時間が短くなったりしがちです。さらに、長時間の移動や慣れない環境によって疲れがたまると、自律神経のバランスが崩れ、吐き気が起こりやすくなります。
- 気圧や標高の変化:飛行機に乗る、高地へ行く、天候が急に変わるなど、旅行中は気圧や酸素環境の変化を受けやすくなります。こうした変化に身体がうまく適応できないと、気分の悪さや吐き気として現れることがあります。
- 食べすぎ・飲みすぎ・慣れない食事:旅行先では、普段より多く食べたり、脂っこいものや刺激の強いものを食べたり、飲酒量が増えたりすることがあります。こうした負担によって胃腸の働きが乱れると、むかつきや吐き気が起こることがあります。
- 脱水や低血糖:移動や観光に気を取られると、水分補給や食事が後回しになりやすくなります。その結果、脱水やエネルギー不足が起こり、気分不良や吐き気につながることがあります。
- におい・光・人混みなどの刺激:観光地や乗り物内、ホテル、駅などでは、強いにおい、まぶしい光、人混み、騒音など、さまざまな刺激にさらされます。こうした刺激が神経を敏感にし、吐き気を引き起こすことがあります。
これらは、どれも重大な病気ではないことが多い一方で、旅行という非日常の環境では、身体にとって大きな負担になることがあります。
そのため、検査で異常がなくても、吐き気が起こることは珍しくありません。
心身の反応による要因
(心・自律神経面)
旅行中の吐き気は、身体の疲れだけでなく、心の緊張や興奮、自律神経の反応が関係していることもあります。
- 楽しみや緊張による過覚醒
旅行の前や当日は、楽しみな気持ちが高まる一方で、心も身体も興奮しやすくなります。その結果、自律神経が休まりにくくなり、吐き気として現れることがあります。
- 予定を詰め込みすぎる疲労
「せっかく来たのだから、できるだけ多く回りたい」と予定を詰め込みすぎると、身体が休まる時間が少なくなります。楽しんでいるつもりでも、心身には負担がかかっており、それが吐き気として表れることがあります。
- 移動や時間管理への不安
乗り換え、遅延、道に迷わないかという不安、同行者への気遣いなど、旅行中は思っている以上に気を張る場面が多くあります。こうした緊張が続くと、自律神経が乱れ、吐き気を起こしやすくなります。
- 環境変化への敏感さ
知らない土地、違う気候、違う食事、違う生活リズムなど、旅行は変化の連続です。こうした変化に敏感な方では、身体が順応しきれず、不調として吐き気が出ることがあります。
- 予期不安
「また旅行中に吐き気が出るかもしれない」と構えてしまうことで、身体が先に緊張し、実際に症状が起こりやすくなることがあります。このように、不安そのものが吐き気を強めることもあります。
旅行は楽しい時間である一方、身体にとっては移動・刺激・緊張が続く特別な状況でもあります。
「楽しんでいるのに不調になるのはおかしい」のではなく、心と身体が変化に頑張って適応しようとしている結果として、吐き気が現れることがあるのです。
西洋医学の「異常なし」の
壁と東洋医学の役割
西洋医学での「異常なし」の意味
胃や脳、耳などに明らかな異常がない場合、検査結果としては「異常なし」と説明されます。
これは重大な病気が隠れていない可能性が高いという意味ではありますが、それは「不調が存在しない」という意味ではありません。
西洋医学では、乗り物酔い、気圧変化、自律神経の乱れ、感覚刺激への過敏さなどを“数値化”しにくいため、「異常なし」とされやすいのです。
一方で、患者さん本人は確かにつらさを感じているという状況です。
東洋医学が着目するもの
東洋医学では、旅行中に起こる吐き気を移動による疲れ、気候や環境の変化、緊張や興奮による影響、体質的な偏りも含めて捉えます。
- 気滞(きたい):ストレスや移動疲れによって気の巡りが悪くなり、胸やみぞおちがつかえるような感じや、むかつきが出やすい状態。
- 気逆(きぎゃく):気が上にのぼりやすくなり、むかつきや吐き気として現れる状態。緊張や興奮が強いときに起こりやすくなります。
- 脾胃の弱り:胃腸が疲れやすく、食事や環境の変化で不調が出やすい体質。旅行中の食べすぎや慣れない食事で、吐き気や胃もたれが起こりやすくなります。
- 痰湿・水滞(たんしつ・すいたい):水分代謝が乱れ、身体の中に余分な水分や重だるさがたまりやすい状態。むかつきだけでなく、頭重感やめまいを伴うこともあります。
- 肝気鬱結(かんきうっけつ):緊張や抑圧された感情が、胃腸の働きに影響している状態。ストレスを受けると胃がむかむかする、吐き気が出やすいといった症状につながることがあります。
漢方では、「半夏厚朴湯」「六君子湯」「五苓散」「苓桂朮甘湯」などを用いて、気・血・水や胃腸機能のバランスを整え、身体全体の巡りを改善することを目指します。
一時的な対処法・セルフケア
一時的なセルフケアとして、以下のような方法があります。
- こまめに水分をとる
- 空腹のまま移動しない、食べすぎもしない
- 乗り物では遠くを見て、スマートフォンを見すぎない
- 締めつけの少ない服装にする
- 無理に予定を詰め込まず、休憩を入れる
- 酔いやすい方は、酔い止めや普段の薬を早めに準備しておく
- 強いにおいや人混みを避けられるときは避ける
- 深呼吸をして、自律神経の高ぶりを落ち着ける
- 前日から睡眠不足を避ける
これらのケアを行うことで一時的に楽になることもありますが、根本的には体質や自律神経の乱れ、心身の緊張の癖を整えることが大切です。
そのためには、身体と心を総合的に診る医療が有効です。
病院にかかるべきタイミング
下記のような状況の場合、受診のタイミングです。
- 旅行のたびに吐き気を繰り返す
- 吐き気が強く、食事や水分がとれない
- 頭痛、めまい、動悸、腹痛などを伴う
- 市販薬や酔い止めが効きにくい
- 旅行から帰ったあともしばらく吐き気が続く
- 激しい嘔吐、意識がぼんやりする、脱水が強い
症状が軽くても、「旅行のたびに吐き気が出る」という時点で受診のサインです。
我慢せず、まずは相談することが回復への第一歩です。
受診先の選び方
初めて受診する場合
まずは、胃や脳、耳などに重大な病気がないかを確認することが大切です。
そのため、初めて受診する場合は、内科や消化器内科などが候補になります。
また、めまいや耳の詰まり感、乗り物酔いの強さが気になる場合は、耳鼻咽喉科も候補になります。
そのうえで、「旅行中に起こる」「乗り物のあとに出やすい」「気圧変化で悪化する」など、起こる状況を具体的に伝えることが大切です。
他院で「異常なし」と言われた場合
自律神経・生活背景・体質まで含めて、西洋医学+東洋医学の両面から診ることができる総合診療のできる医療機関への相談をおすすめします。
気・血・水や心身のバランスを整えることで、再発を防ぐ根本治療が可能です。
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○:金曜日の診療時間は9時〜12時、13時半〜17時
□:土曜日の診療時間は13時半〜19時半
※:国立精神・神経医療研究センターからの派遣医師による診療
【休診日:土曜午前、日曜】