電話をしているときや、オンライン会議が始まると急におなかが痛くなったり、胃がキリキリしたり、下しそうになったりすることはありませんか?
「会議の前までは平気なのに、始まるとおなかが痛くなる」
「電話中だけ胃が締めつけられるように痛む」
そんな状態が続くと、「気にしすぎなのでは」「仕事の緊張だけでは説明できない」と不安になる方も少なくありません。
病院で検査をしても異常が見つからず、「ストレスでしょう」「胃腸が弱いのでは」と言われることもありますが、実は電話中・オンライン会議中の腹痛には、胃腸の緊張、自律神経の乱れ、ストレス反応、過敏性腸症候群、姿勢や呼吸の浅さなど、さまざまな要因が関わっていることがあります。
この記事では、西洋医学と東洋医学の両面から、「電話中・オンライン会議中におなかが痛くなる」原因と対処法をやさしく解説します。
「電話中・オンライン会議中におなかが痛くなる」とき、一般的に考えられる病気・診断名
「電話中・オンライン会議中におなかが痛くなる」場合、以下のような疾患や状態が関連していることがあります。
- 過敏性腸症候群(IBS)
過敏性腸症候群は、緊張やストレスをきっかけに、腹痛や下痢、便意などが起こりやすくなる病気です。とくに、「会議中に急におなかが痛くなる」「電話中にトイレが気になってしまう」といった症状が出る場合は、過敏性腸症候群が関係していることがあります。
- 機能性ディスペプシア
胃に潰瘍や炎症などの明らかな異常がないのに、胃もたれ、みぞおちの痛み、胃の不快感などが続く状態です。電話中や会議中の緊張で胃が敏感に反応し、胃痛として現れることがあります。
- 自律神経失調症
緊張すると交感神経が優位になり、胃腸の動きが乱れやすくなります。その結果、胃がキリキリしたり、おなかが痛くなったり、下痢や張り感が出たりすることがあります。
- 胃炎・胃けいれん
空腹、ストレス、カフェインなどがきっかけとなって、胃が痛んだりけいれんのような不快感が出たりすることがあります。会議前にコーヒーを飲んでいたり、忙しくて食事が不規則になっていたりすると、症状が出やすくなることがあります。
- 便秘や腸のガスだまり
長時間座りっぱなしでいたり、緊張で腸の動きが悪くなったりすることで、ガスがたまり、おなかの張りや痛みが起こることがあります。「キリキリ痛む」というより、「張って苦しい」「重たい感じがする」と表現されることもあります。
- 月経関連の腹痛
もともと月経前後に腹痛が起こりやすい方では、会議中の緊張や冷えが加わることで、いつもより痛みが強く出ることがあります。仕事中だけ痛みが目立つ場合でも、女性特有の要因が関係していることがあります。
電話中・オンライン会議中の腹痛は、「気のせい」ではなく、胃腸がストレスや緊張に反応していることで起こる場合があるのです。
そのため、検査で大きな異常が見つからなくても、症状が出ることは珍しくありません。
病院で「異常なし」と言われるときに考えられる要因
医学的に説明がつく要因(身体面)
電話中・オンライン会議中の腹痛には、検査で大きな異常が見つからなくても、身体の反応として説明できる要因があります。
- 緊張による胃腸の収縮:人は緊張すると、胃腸の動きが乱れやすくなります。胃がキリキリしたり、腸が急に動きすぎたり、逆に止まりすぎたりすることで、腹痛や便意、胃の不快感が起こることがあります。
- 呼吸の浅さ:会議中や電話中は、思っている以上に呼吸が浅くなりやすいものです。呼吸が浅い状態が続くと、横隔膜や腹部まわりの筋肉がこわばり、おなかの張りや痛みにつながることがあります。
- 座りっぱなし・姿勢の固定:長時間座り続けたり、前かがみの姿勢で画面に向かったりすることで、おなか周りが圧迫されやすくなります。その結果、胃腸の動きが悪くなり、胃痛や腹痛、張り感が出やすくなります。
- 空腹・食べすぎ・カフェインの影響:会議前に空腹のまま過ごしていたり、逆に急いで食べすぎていたりすると、胃腸に負担がかかります。また、眠気対策や気分転換で飲むコーヒーやエナジードリンクが、胃を刺激して痛みのきっかけになることもあります。
- ガスだまり・腸の蠕動異常:緊張や生活リズムの乱れによって腸の動きが不安定になると、ガスがたまりやすくなったり、おなかがゴロゴロしたりすることがあります。こうした状態が、会議中の腹痛や不快感につながることがあります。
- 冷えや室温の影響:会議室や自室の冷房、足元の冷えなどによって、胃腸が敏感に反応することがあります。とくに、もともと冷えやすい方では、冷えが腹痛の引き金になることがあります。
これらは、明らかな臓器の異常というより、胃腸の働きや神経のバランスが乱れて起こる「機能の乱れ」による不調です。
そのため、内視鏡検査や血液検査では異常が見つからなくても、実際にはつらい症状が続くことがあります。
心身の反応による要因
(心・自律神経面)
電話中・オンライン会議中の腹痛は、身体の問題だけでなく、心の緊張やストレス、自律神経の反応が大きく関係していることもあります。
- 緊張・気疲れ
電話や会議では、相手の反応を気にしたり、発言のタイミングを探ったりと、思っている以上に神経を使います。その緊張が胃腸に影響し、腹痛や胃痛として現れることがあります。
- 評価されるストレス
上司や取引先との会話、発表の場面、大人数の会議などでは、「失敗できない」「うまく話さなければ」というプレッシャーが強くなりやすくなります。こうしたストレスは、胃や腸を敏感にし、痛みや違和感を引き起こすことがあります。
- 予期不安
「また会議中におなかが痛くなるかもしれない」と思うことで、会議前から身体が緊張しやすくなります。この不安が、実際の腹痛をさらに強めてしまうことがあります。
- 我慢による悪循環
会議中は、「途中で抜けにくい」「すぐにトイレへ行けない」と感じることがあります。そうした我慢や不安がさらに緊張を高め、腹痛や便意を悪化させてしまうことがあります。
- オンライン特有の疲労
オンライン会議では、画面越しのやりとりに集中し続ける必要があり、対面とは違った疲れがたまりやすくなります。この集中疲労や違和感が、自律神経の乱れを通じて胃腸に影響することがあります。
- 交感神経優位の持続
会議中は、身体が「緊張モード」になりやすく、交感神経が優位になります。この状態が続くと胃腸が休まりにくくなり、会議中だけでなく、終わったあとにどっと腹痛が出ることもあります。
電話中・オンライン会議中の腹痛は、心の負担が胃腸に現れる代表的なパターンのひとつです。
「弱いから」「気にしすぎだから」ではなく、心と身体が自然に反応した結果として起こることがあるのです。
西洋医学の「異常なし」の
壁と東洋医学の役割
西洋医学での「異常なし」の意味
胃や腸に潰瘍、炎症、腫瘍などの明らかな異常がない場合、検査結果としては「異常なし」と説明されます。
これは重大な病気が隠れていない可能性が高いという意味ではありますが、「不調が存在しない」という意味ではありません。
西洋医学では、ストレスによる胃腸の過敏さ、自律神経の乱れ、機能性の不調を“数値化”しにくいため、「異常なし」とされやすいのです。
一方で、患者さん本人は確かにつらさを感じているという状況です。
東洋医学が着目するもの
東洋医学では、電話中・オンライン会議中に起こる腹痛をストレス、緊張、疲れ方、冷え、体質の偏りなども含めて、全身のバランスから捉えます。
- 気滞(きたい):ストレスによって気の巡りが悪くなり、みぞおちやおなかが張るように痛んだり、つかえ感が出たりしやすい状態。
- 肝気鬱結(かんきうっけつ):緊張や抑圧された感情によって、肝の働きが乱れ、胃腸に影響が出ている状態。ストレスで胃が痛くなる、下痢しやすいといった症状に結びつくことがあります。
- 脾虚(ひきょ):疲れやすく、胃腸の働きが弱りやすい体質。少しのストレスでもおなかの調子を崩しやすく、胃もたれや腹痛、下痢などが起こりやすくなります。
- 寒邪・冷え:冷えによって胃腸が緊張し、腹痛や下しやすさが出やすい状態。とくに、冷房の効いた部屋や冷たい飲み物がきっかけになることがあります。
- 瘀血(おけつ):血流の滞りによって、鈍い痛みや重だるさが続きやすい状態。慢性的な張り感や、なかなかすっきりしない腹部不快感につながることがあります。
漢方では、「半夏厚朴湯」「加味逍遙散」「六君子湯」「桂枝加芍薬湯」などを用いて、気・血・水や胃腸機能のバランスを整え、身体全体の巡りを改善することを目指します。
一時的な対処法・セルフケア
一時的なセルフケアとして、以下のような方法があります。
- 会議前に深呼吸をして、呼吸を整える
- おなかを締めつけない服装を心がける
- 画面の前で前かがみになりすぎず、姿勢を整える
- 冷たい飲み物を控え、温かい飲み物を選ぶ
- カフェインをとりすぎない、空腹のまま会議に入らない
- 会議前にトイレを済ませておく
- 長時間の会議の前後で軽く身体を動かす
- 「どんな会議で痛くなりやすいか」を記録する
- 「また痛くなるかも」と構えすぎず、少しでも落ち着ける工夫をする
これらのケアを行うことで一時的に楽になることもありますが、根本的には体質や自律神経の乱れ、心身の緊張の癖を整えることが大切です。
そのためには、身体と心を総合的に診る医療が有効です。
病院にかかるべきタイミング
下記のような状況の場合、受診のタイミングです。
- 電話やオンライン会議のたびに腹痛を繰り返す
- 下痢、便秘、吐き気、動悸、冷や汗などを伴う
- 市販薬が効かない、または使う回数が増えている
- 仕事や会議への参加に支障が出ている
- 会議が終わったあともしばらく腹痛が続く
- 血便、発熱、体重減少、強い持続痛がある
症状が軽くても、「会議や電話のたびにおなかが痛くなる」という時点で受診のサインです。
我慢せず、まずは相談することが回復への第一歩です。
受診先の選び方
初めて受診する場合
まずは、胃や腸に重大な病気がないかを確認することが大切です。
そのため、初めて受診する場合は、消化器内科や内科などが候補になります。
また、下痢や便通異常が強い場合は消化器内科、月経前後の悪化など女性特有の症状との関連がありそうな場合は婦人科も候補になります。
そのうえで、「電話中」「オンライン会議中」「緊張時」など、起こる状況を具体的に伝えることが大切です。
他院で「異常なし」と言われた場合
自律神経・生活背景・体質まで含めて、西洋医学+東洋医学の両面から診ることができる総合診療のできる医療機関への相談をおすすめします。
気・血・水や心身のバランスを整えることで、再発を防ぐ根本治療が可能です。
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○:金曜日の診療時間は9時〜12時、13時半〜17時
□:土曜日の診療時間は13時半〜19時半
※:国立精神・神経医療研究センターからの派遣医師による診療
【休診日:土曜午前、日曜】